近所で見慣れない鳥をみかけた。うぐいす色でスズメくらいの大きさだった。よく見ると、目の周りが白く縁どりされていた。メジロだろうということになった。
ボクは鳥が苦手だ。メジロ程度の大きさなら何ともないが、ハトになるとダメである。近づいても逃げないから困る。
犬なら怒っていれば唸るし、嬉しければ尻尾を振る。しかし鳥は何を考えているか分からない。しかも空を飛んで攻撃してくるかもしれない。
歩道にハトが居ると、片側3車線の道路でも反対側に迂回する。
浅草寺にお参りする時は、仲見世を過ぎると目をつぶって、手を引いてもらう。

さらに言うと鳥は恐竜の子孫だから怖い。
ティラノサウルスや、ジュラシックパークで人間を襲うヴェロキラプトルなどが属するグループから進化したと考えられている。
恐竜のほとんどは6,550万年前に絶滅したが、鳥は生き残った。
恐竜は爬虫(はちゅう)類のはずだ。ボクたちは、鳥類と爬虫類は別物として教えられた。今回は「いつから鳥類が恐竜になったのか」のお話です。
鳥の祖先と言えば、始祖鳥。
1860年にドイツで発見された。
ダーウィンが進化論を発表した翌年である。
始祖鳥は発見された当初から小型恐竜の骨格に似ていると言われ、恐竜の子孫との主張もあった。しかし決定的な問題があった。
ボクたち人間の首の下には、鎖骨と言う逆ハの字型の2本の骨がある。
鳥には、2本の鎖骨が癒着してV字型になった叉骨がある。叉骨も鎖骨も「サコツ」と読むから紛らわしい。叉骨は翼を羽ばたかせるための大きな筋肉を支えるもので、すべての鳥にある。
ところが恐竜からは、鎖骨すら見つかっていなかった。恐竜が鳥の祖先だと考えると、一度退化した鎖骨が復活し、さらにつながって叉骨になったことになる。
このように一度退化した器官が全く同様の進化を遂げ、元のようになることはない。
だから始祖鳥の発見から100年以上も、恐竜に似ているのは偶然だと言われてきた。

1970年代に入り、恐竜には鎖骨ばかりではなく、叉骨を持つものもいたことがわかった。さらに様々な類似点も見つかった。
羽毛のある恐竜の化石が相次いで発見され、恐竜から進化したとする説が有力になった。しかし最後に残された謎があった。
これが2011年東北大学の田村教授らのグループによって解き明かされた。
そして始祖鳥が見つかって以来、150年以上にわたる議論に決着がつけられた。
鳥の翼と恐竜の前脚には、いずれも3本の骨がある。だが「もともと5本あった指の骨のうちの、どの3本が残ったのか」が違うとされていた。
鳥は卵の中では親指と小指の骨が成長せず、「人さし指、中指、薬指」の3本指になる。
一方、恐竜は小指と薬指が退化した痕跡がある化石から「親指、人さし指、中指」の3本である。
恐竜が鳥に進化するためには、一度退化した薬指を再び進化させ、さらに親指を退化させなければならない。このような進化はありえない。
田村教授らは、ニワトリの卵で指の成長を促すたんぱく質を調べた。
成長の初期段階では薬指の位置にあったたんぱく質が、3日目以降にはなくなっていた。3本指に成長したのは恐竜と同じ「親指、人さし指、中指」だった。
この結果、鳥の翼と恐竜の前脚の指は同じであることが判り、鳥が恐竜から進化したという説が裏付けられた。
今も、高校の教科書では鳥の翼は人さし指から薬指の3本と書かれているが、書き換えられる可能性が高い。
はい、鳥は恐竜でした。解決したのはつい最近です。しかも日本人によってです。恐ろしき竜ですよ。ボクが恐がるのも当然でしょ。恐竜は絶滅していませんでした。
そこで、もし僕が苦手な鳥=恐竜が絶滅したらどうなるか、考えてみました。
・目を開けて浅草寺にお参りができる。
・おいしいやきとりが食べられなくなる。でも、やきとんがあるから大丈夫。
・チキン南蛮が食べられなくなり、宮崎県民が苦悩する。
・朝食から目玉焼きが消える。
・バードウォッチャーが双眼鏡を向ける先が無くなり、別の被写体を見つけ出す可能性が懸念される。
・ゴミにネットをかける必要が無くなる。自治会の費用が軽減する。
・ウグイスの鳴き声が聞こえなくなる。
・鳥かごメーカーが苦しくなる。
・ツバメの巣を掃除する必要が無くなる。
・南極が寂しくなる。
・鳥類学者が失業する。
・赤い羽根募金が出来なくなる。
・白鳥の飛来地というキャッチフレーズが使えなくなる。
・千鳥足で歩けなくなる。
・桃太郎の鬼ヶ島制圧が難しくなる。
・鳥類図鑑が売れなくなる。
・糞を頭に落下されなくなる。
・羽ペンが貴重品になる。
・ダウンジャケットが無くなる。そしてユニクロが新商品を開発する。
・羽毛布団も無くなる。
いろいろ影響はありそうだ。
オジさんの科学vol.016 2017年4月号 2017.04.30(2019.10.17改)