そーね。そうか。そうなのね。

オジさんがオモシロそうだと思った科学ネタを、勝手にお裾分けします。

ミートテックを愛用する方々に、ジャストミートする諸研究

オジさんの科学vol.029 2018年5月号

(2018年5月に配信した文章を、2020年3月に微修正しアーカイブしました)

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 ヒートテックは、ユニクロ東レが共同開発した保温性に優れる下着です。

 ある先輩は、自分の脂肪を「ミートテック(MT)」と命名しました。MT愛用者にとってこれからの季節は、どこでもサウナだそうです。

 最近、相次いでMT愛用者に関連する研究結果が発表されました。

 

 

MT愛用者が、がんになりやすい訳

 統計的に肥満は、がんのリスクになると言われてきた。

 国立がん研究センターの調査によると、BMIが30~39.9の人のがんになる確率は、23~24.9の人の1.22倍になるそうだ。

 今回、北海道大学の研究チームは、肥満が発がんを促進する原因の一端を解明した。

 

 がんの赤ちゃん細胞ができると、周囲の正常な細胞との間で、「細胞競合」が起こる。異質なものを排除しようとする働きだ。

 教室内だといじめになるが、体内ではがんを未然に防ぐことになる。

 マウスにがんを誘発する遺伝子を組み込み、実験した。普通のマウスの場合は、赤ちゃんがん細胞はどんどん体外へ排出された。ところが肥満マウスでは、赤ちゃんがん細胞が残ってしまった。すい臓に残ったがん細胞が増殖し、一ヶ月後小さな腫瘍となった。

 肥満による慢性炎症などが、細胞競合を阻害していると考えられた。肥満マウスに抗炎症剤のアスピリンを投与すると、赤ちゃんがん細胞の体外への排出が増えた。

 

 MTは保温効果が高いだけでなく、炎症も起こしている。その熱い体が赤ちゃんがん細胞のゆりかごとなるようだ。

 

MT愛用者を、がんから守る仕組み

 肥満になっても血液を正常に保ち、白血病から守る仕組みを金沢大学の研究チームが発見した。 

 全ての血液の源となる造血細胞を、制御する遺伝子がある。この遺伝子を削除したマウスに高脂肪食を与え続けると造血細胞が異常増殖し、白血病になって死亡した。一方で正常な遺伝子を持つマウスの場合は肥満になっても白血病には至らなかった。

 また、高脂肪食マウスは腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えていることがわかった。そこで抗生物質を投与し腸内の除菌を行ったところ、遺伝子削除マウスでも白血病の発症が抑えられた。

 血液を制御している遺伝子の働きが何らかの原因で弱まった時に、暴飲暴食を続けると悪玉菌が増え、血液の異常が生じる可能性も考えられると研究グループは言う。

 

 MT愛用者の方々は、脂っこいものや甘いもの、ジャンクな食べ物を大量に摂取することを心がけ、体型の維持を図っていらっしゃいますよね~。

 

MTを寒さが減らす

 ギャル曽根ちゃんが太らないのは「褐色脂肪細胞」のおかげと言われている。一般的な「白色脂肪細胞」がエネルギーの貯蔵庫なのに対し、これは脂肪を燃焼させる発熱器なのだ。「熱産生脂肪細胞」と呼ばれる。

 寒いと体が震える。筋肉を動かして発熱するためだ。赤ちゃんはまだ体を震わせることができないため、大人よりたくさんある褐色脂肪細胞で体温を維持している。

 ギャル曽根ちゃんは、なぜか大人になっても褐色脂肪細胞が活性化しているようだ。

 

 最近、第二の熱産生脂肪細胞「ベージュ脂肪細胞」が見つかった。

 そして東京大学東北大学群馬大学などの研究チームは、ベージュ脂肪細胞ができる仕組みを明らかにした。

 ベージュ脂肪細胞は、白色脂肪細胞が変化したものだった。

 急激に寒くなると褐色脂肪細胞が働く。さらに寒さが長期化すると白色脂肪細胞の遺伝子に変化が起こりベージュ細胞になる。

 秘密のケンミンショーの北海道特集に、冬でも生足の女子高生たちが出ていた。きっと白色細胞の一部に遺伝子変化が起こっているのだ。

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 遺伝子は生命の設計図だ。だが、全てが機能している訳はない。

 白色脂肪細胞にも熱を作る遺伝子はあるが、普段はお休みしている。この遺伝子をたたき起すと、ベージュ脂肪細胞になる。

 

 ベージュ脂肪細胞は余分な糖や脂肪を活発に消費することから、糖尿病の治療にも役立つのではないかと期待されている。

 寒さだけでなく運動した後に筋肉から放出されるホルモンが、ベージュ化の刺激になるとの報告もある。

 

 運動を極力控えているMT愛用者の方々は、2重の意味でエネルギーの節約をしているんですね。

 

MTを減らす薬

 「『痩せるホルモン』を分泌させる物質をミドリムシから製造」と国立研究法人産業技術総合研究所が発表した。

 

 今回の研究でミドリムシに多く含まれる多糖類のパラミロンがインスリン分泌関連ホルモンに作用し、内臓脂肪量の減少や体重増加の抑制に効果があることがわかった。

 5週の間マウスに高脂肪食を与えた実験では、体重増加は50%に抑えられ、内臓脂肪は33~38%減少した。

 今後作用のメカニズムの解明や製薬会社や大学などとの連携に取り組むそうだ。

 

 ちなみに、ミドリムシラーメンをたくさん食べても効くかどうか判りません。パラミロンを吸収させるための加工が必要なのです。

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MTを着せたのは誰だ

 理化学研究所と日本医療研究機構、東北大学岩手大学の研究チームは肥満に影響する遺伝子の分析を行った。まず日本人約16万人のデータ分析を行い、これを別の1.5万人のデータで検証した。

 それによると体重の個人差の最大30%が、遺伝子の違いから説明可能であると推定された。MTの3割は体質によるもの、残りは自己責任いや自助努力の賜物なのだ。

 

 また体重と遺伝的に関係のあると病気も判明した。痩せ形の人は関節リウマチ、思春期突発性側弯症、統合失調症のリスクが高い。肥満の人は2型糖尿病脳梗塞心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、気管支喘息後縦靭帯骨化症のリスクが高いことがわかった。

 

 

 たくさん研究されているということから、MTが社会的にも重要なテーマであることがわかります。

                                                                                                      や・そね

 

<参考文献>

プレスリリース

              ・北海道大学
    「肥満が発がんを促進する原因の一端を解明」2018年4月25日

              ・金沢大学   
    「メタボから幹細胞を守るしくみ,発見!」2018年4月27日

              ・東京大学東北大学など
    「脂肪燃焼体質を作るには、寒さの感知とエピゲノムの変化が重要」
     2018年4月20日

              ・国立研究法人産業技術総合研究所
    「『痩せるホルモン』を分泌させる物質をミドリムシから製造」
     2018年5月21日

              ・理化学研究所など
    「肥満に影響する遺伝マーカーを解明」2017年9月12日

WEB

              ・国立がん研究センターHP

              ・ウィキペディアミドリムシ