オジさんの科学

オジさんがオモシロそうだと思った科学ネタを、勝手にお裾分けします。

新発見は、キラキラネーム?

オジさんの科学vol.087 2023年3月号

 大相撲春場所の中継を眺めていたら、取り組み表に「天空海」という四股名を見つけました。「テンクウカイ?」ひょっとして「アクア?」。アクアでした。調べてみると「宇瑠寅(ウルトラ)」や「豈亜(ガイア)」という力士もいるようです。角界にもキラキラネームがあるのですね。

 

 そこで突然思い出したのが、「ヨコヅナイワシ」。
 2021年に海洋研究開発機構が名付けました。勿論力士じゃないし、イワシでもありませ ん。体長が138cm、体重が25kgもある深海魚です。元々「セキトリイワシ」という深海魚が知られていました。こちらは大きくとも体長35cm程度。その巨大な仲間なので、この名前を付けたそうです。セキトリイワシは、私たちがいつも食べているイワシとはまったく違う魚で、不味いとのこと。額の形が関取っぽいから、との説明も見かけましたが、よく分かりません。

 

 新発見の生物や事象には名前が付けられます。そこで今回は、近年発表されて「おっっ!」と思った名前をご紹介したいと思います。

 

ゴジラメガムリオン

 何だか、やたらかっこよくありません?これ、太平洋の海底地形に付けられた名前です。『シン・ゴジラ』でも、ゴジラは太平洋から出現しました。

 

 2022年、海上保安庁は、世界の海底地形名を標準化するための国際会議で承認された、と発表しました。
「メガムリオン」とは、海底に大きな断層が出来て、マントル物質などが露出したドーム状の高まりのこと。その表面に畝状の構造を持ちます。まるでゴジラの背中の様です。
 ゴジラメガムリオンは、2001年に東京から約2,000km南、沖ノ鳥島南東方の水深数千mの海底で発見されました。大きさは、約125 km × 55 km、東京都の面積の約3倍。地球上最大のメガムリオンです。そして、その巨大さから、ゴジラの名が引用されたそうです。

 

 ここから、本来地中深くにあるマントル物質などを採取することにより、フィリピン海プレートの形成過程の解明が進むと期待されています。現在、名古屋大学産業技術総合研究所海洋研究開発機構の研究チームが、掘削計画を進めています。


 


ゴジラの次は、キングギドラ

キングギドラシリス

 2022年、東京大学新潟大学名古屋大学琉球大学、ドイツのゲッティンゲン大学、スペインのマドリード自治大学の国際研究チームが、佐渡島の近海で発見した新種の生き物に名づけました。
 ゴカイやミミズ、ヒルなどの仲間の環形動物。大きさは約3cm、ちっちゃなキングギドラです。水深十数mの岩場に付着した、スポンジ状の生き物「カイメン」の体内に寄生していました。
 身体が幾つにも分岐していることから、キングギドラに因んだとのことです。

 

 通常、動物の体は、頭から尾にかけて一つの体幹の軸があり、左右対称になっています。体幹が分かれた動物は、極めて珍しいとのことです。キングギドラシリスの発見は、どうして動物が左右対称に進化したのか、を解く手がかりなるかもしれないということです。

 

怪獣に続いては、アニメ。

エウブロンテス・ノビタイ

 vol.067 2021年7月号で取り上げた恐竜の名前です。
 2021年に、中国のドラえもんファンの中国地質大学の研究者によって新種の恐竜に「のび太」にちなんだ名前が付けられました。
 映画「ドラえもん のび太の新恐竜」(2020年公開)で、のび太が恐竜に「ノビサウルス」と名付けるシーンがあったことから、「のび太」にラテン語で人名を示す「イ」を付け、「ノビタイ」と命名したそうです。
 ノビタイは、体長約4mの肉食恐竜だったと考えられています。

 

最後は、化け物?

マモノウイルス

 かつて、子どもに「悪魔」という名前を付けようとした騒動がありました。家庭裁判所まで持ち込まれ、最終的には親が名前を変更して届を出し直しました。ウイルスの場合は、問題ないのでしょうか。

 

 ウイルスといえば、小さいものの代表の様なもの。細菌は理科室にあるような光学顕微鏡でも見えるが、ウイルスは小さすぎて絶対に見えない。これが常識でした。ところが近年、光学顕微鏡でも見える巨大ウイルスの発見が、相次ぎました。そのような巨大ウイルスを研究している京都大学東京理科大学生理学研究所の研究チームが、2023年に「マモノ(魔物)ウイルス科」という巨大ウイルスの分類を提案しました。


 研究チームは、2019年に発見した新種の巨大ウイルスの進化系統的な分析を進める中で、新たな分類の提唱に至りました。ちなみにその巨大ウイルスの名前は「メドゥーサウイルス」。アメーバに感染し 、その細胞を「固くして眠らせる」そうです。

 

 

 ゴジラメガムリオンは、国際水路機関ユネスコ政府間海洋学委員会が共同で設置する「 海底地形名小委員会」によって認められました。キングギドラシリスのような生き物の場合は、国際命名規約に則り、論文などで発表します。恐竜も同じです。マモノウイルスは「国際ウイルス分類委員会」に対して提案をおこなっています。

 命名には、ルールがあるのです。

 来年、日本人の命名ルール「戸籍法」が改正され、社会で一般的に認識されている読み方や意味でなくてはならない、という基準が出来るようです。

                      

                               や・そね

 

<参考資料>

プレスリリース

・「新種の巨⼤深海⿂「ヨコヅナイワシ」を発⾒〜駿河湾深部に潜むアクティブなトップ・プレデター〜」2021年 1⽉ 25⽇ 国⽴研究開発法⼈海洋研究開発機構

・「日本提案の海底地形名が国際会議で承認」 2022年1月6日 海上保安庁

・「海底地形にゴジラの名前 ~フィリピン海プレート上の巨大メガムリオンの掘削実現に向けて前進~」2023年2月28日 名古屋大学産業技術総合研究所海洋研究開発機構

・「体が分岐する環形動物の新種発見:佐渡島キングギドラシリス」2022年1月20日 東京大学新潟大学名古屋大学琉球大学

・「ヒストン遺伝子を全セット持つ巨大ウイルスの発見 ―DNA関連遺伝子のウイルス起源に新たな証拠―」2019年2月13日 京都大学東京理科大学生理学研究所東京工業大学

・「メドゥーサウイルスの正式な分類の提唱―マモノ(魔物)ウイルス科メドゥーサウイルス属―」2023年2月28日 京都大学東京理科大学生理学研究所

 

WEB

海上保安庁海洋情報部ホームページhttps://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/KENKYU/index.html#topic3

新潟大学佐渡島臨海実験所ホームページ

https://www.sc.niigata-u.ac.jp/sc/sadomarine/marinelife/kingugidorasirisu.html

 

新聞

日経新聞          2021年7月9日  「のび太」にちなみ命名 中国で新種の恐竜

東京新聞          2021年9月15日 中国で新発見の恐竜の名前は「ノビタイ」 命名した研究者「私も昔、のび太だった」 ドラえもん映画の一場面から着想

日経新聞          2023年2月2日  全国民の戸籍、読み仮名記載へ 命名に一定ルール 法制審案、基準は「一般に認められる」

イワナのあくび、ジュゴンもあくび。

 オジさんの科学vol.086 2023年2月号

 

 九州や四国では、春一番が吹きました。もうすぐ春です。待ち遠しいです。ポカポカした陽だまりでお昼寝をしたいです。考えただけで、あくびが出そうです。あくびって気持ちイイですよね。
 てなことで、今回は「あくび」についてのお話です。

 

 


さて、あくびが出るのは、どんな時でしょう。
 まず「眠い時」。受験勉強やプレゼンの準備で徹夜した時は、あくびが止まりません。
 次に「退屈な時、つまらない時」。部長の話が長い時や発言を求められない会議では、あくびをかみ殺すのに一苦労です。
「極度に緊張した時」というのもありそうです。
 そして「隣の人があくびした時」。あくびは伝染(うつ)る、と言われます。なぜか、つられてしまうんですよねぇ。

 

 あくびについては、よくわかっていないことが多いそうです。確実に分かってるのは、「あくびをすると覚醒の脳波が出る」ということ。
 眠気を醒まそうとしているのですね。寝てはいけない時に出るあくびは、頑張ろうと言う気持ちの表れなのです。つまらない話でも頑張って聴こうと思っている、ということ。でも、つまらないと思っていることを悟られまいと、かみ殺すんですね。
 覚醒を促して緊張を解く行動とも考えられるそうです。99期もタイトルを保持した将棋の羽生九段も、タイトル戦ではよくあくびをしていたそうです。

 

 脳の奥にあるあくびの中枢が指令を発すると、脳内のいろいろな部署に伝わります。 
 深く息を吸い込みます。そしてほぼ最大になるまで口を開きます。目を細めたり、閉じたりします。あごは上がりがちです。背筋や手足を伸ばす場合もあります。声が出てしまう時さえあります。一瞬、間をおいて短く息を吐きます。この一連の動作にかかる時間は、平均5.9秒だそうです。

 

 このような動作により、あくびは酸素をたくさん取り込んで覚醒を促す、と言われてきました。しかし今では、この説は否定されています。高酸素濃度の環境や、逆に二酸化炭素が多い部屋で実験してもあくびの頻度に変わりはないそうです。あくびで血中の酸素濃度は変化しないそうです。
 血流を良くして脳を冷却する、と言う説もあります。しかし、必ずしも定説になっている訳ではなさそうです。風邪をひいて高熱が出ても、あくびを多発するということはありません。

 

 春の陽が差し込む窓際などで、うちの光ちゃん(イヌ)も小鈴(ネコ)も、よくあくびをしていました。多くの動物たちも、あくびをすることが知られています。
 三重大学の研究チームは、2021年に、イルカが水中であくびをすることを発見しました。完全な水中生活動物のあくびの発見は、世界で初めてでした。続いて2022年に、ジュゴンも水の中であくびをすると報告しました。
 ご存じのようにイルカもジュゴンも哺乳類です。水中では呼吸できません。このことから、あくびには呼吸を伴わなくてもよいことが判りました。少なくとも彼らのあくびでは、絶対に酸素を取り込むことはできません。

 

 生理的なあくびの機能を理解するために、様々な動物のあくびが研究されています。地球上で最初にあくびをしたのは、魚だと言われています。


 先月、北海道大学の研究チームが、「イワナは、泳ぎだす前にあくびをする」という研究成果を発表しました。静的な状態から動的な状態に移る前に、あくびをすることによって覚醒を促し、活発な行動変化を引き起こすのではないか、とのことです。
「ウ~~ン、仕事するかぁ~~」と背伸びをする時と似ているような気がします。

 

 あくびは、なぜ伝染(うつ)るのでしょうか。あくびの伝染は、チンパンジーやイヌでも確認されているそうです。いずれも高い社会性を持った動物です。同じグループ内の方が伝染りやすかったり、仲が良いほど多く伝染したりするそうです。
 一方2011年のイグ・ノーベル賞生理学賞は、「カメのあくびは伝染しない」と言う研究でした。仲間のカメのあくびを見ても、被験者のカメは何の関心も示さなかったそうです。

 

 ヒトの場合は、見知らぬ人よりも知人、友人、家族など相手との社会的な関係が深いほど伝染りやすいそうです。また、共感性や社会的なコミュニケーション能力が高いほど伝わるそうです。
「あくびは、眠気を催していることや退屈に感じていること、心理的ストレスを感じていることなどの生理的な状態や心理的な状態を、他者に伝えるための信号である」という説があります。これに共感すると、あくびが伝染る、ということなのでしょうか。

 

 顔のどこの動きによって、あくびの伝染が起きるのかを調べた研究があります。あくびをしている「顔全体」「口なしの顔」「目なしの顔」「口のみの顔」「目のみの顔」の動画を見せて、どれだけの人に伝染るか、どれだけの回数伝染るか、を調べました。顔全体と同じようにあくびが伝染ったのは、口なしの顔でした。
 つまり書類で口を隠してあくびをしても、つまらないと思っていることは部長に伝わっていたのですね。

 

 対面の場合、つまらない話を聞けば、あくびが出てしまいます。顔の動画の実験から推測すると、リモートでも顔出ししていればバレる、と言ことになります。
 一方で、いくらつまらなくてもメール等の文字情報の場合は、相手の反応が判りません。メルマガやブログの良いところは、つまらないことを書いても発信者が傷つかないということです。
 だから、これを読んで何回あくびした、とかの報告は要りません。

や・そね

 

 

<参考資料>

・「イルカは水の中であくびする⁈ 完全水中生活をする哺乳類のあくびを世界で初めて発見

 ―イルカのあくびが、従来のあくびの定義を覆す―」2021年7月13日 三重大学プレスリリース

・「ジュゴンも水中であくびする! イルカに続いて、完全水中生活をする哺乳類のあくび確認2例目」

2024年2月28日 三重大学プレスリリース

・「イワナは泳ぐ前にあくびする ~世界で初めて魚類の状態変化仮説を実証~」

2023年1月18日 北海道大学プレスリリース

・大原貴弘(2015)「あくびの動作パタンの生理的・社会的機能」 

いわき明星大学人文学部研究紀要 第28号 166-177

日経サイエンス 2012年2月号「かめのあくび」

日本経済新聞 2010年8月7日「なぜあくびが出る?」

日本経済新聞 2015年9月27日「かめのあくび うつらない」

・日経Gooday 2015年3月11日「あくびはなぜうつるのか?」

・日経Gooday 2015年10月5日「あくびは何のためにするの?」

・日経Gooday 2016年2月13日「あくびが出るのはどんなとき?」

 

人類初、リアル「地球防衛」実験に成功

オジさんの科学vol.085 2023年1月号

 

 小惑星に探査機をぶつけて軌道を変えよう、というNASA(米航空宇宙局)のミッション。1年程前に探査機(DART)の打ち上げを紹介しました(2021年12月号)。このミッションが、昨年9月に遂行されました。そこで今回は、その衝突の様子と結果を紹介します。

 

 

たくさんある危険な天体

 1908年シベリアで起こったツングースカ大爆発。直径50~60mの隕石が空中で爆発したと推測されています。東京都ほどの面積で針葉樹がなぎ倒され、1、000㎞離れたところの窓ガラスが割れました。
 そして2013年、同じロシアのチェリャビンスクに落ちた直径17mの隕石。上空20㎞で爆発し、半径45㎞の範囲で負傷者が出ました。

どちらも小惑星が起源の隕石と考えられています。

 

 地球の軌道のごく近くを通る危険な小惑星や彗星などの天体は、現在3万ほど発見されています。地球近傍天体、「NEO」と呼ばれます。
 しかし、まだ発見されていないNEOもたくさんあると考えられています。ツングースカ程の大きさのものは10万個、チェリャビンスク程度だと100万個以上ある、とみられています。

 

 NEOの被害から地球を守る活動を「惑星防衛(プラネタリーディフェンス)」と呼びます。現在世界中で、NEOを発見する活動が進められています(2021年3月号)。
 そしてNEOとの衝突を回避する実験として、今回のミッションは行われました。SFでもない、マンガでもない。人類が初めて行ったリアルな地球防衛実験です。

 

ターゲットは二重小惑星

 NASAが、米国のジョンズ・ホプキンス大学と共同で行ったこのミッション。探査機の名前「DART」は、「Double Asteroid Redirection Test:二重小惑星軌道変更実験」の略です。
 DARTは、日本時間の2021年11月24日にカルフォルニアバンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられました。

 

 DARTの「的」は、約1,100万㎞の彼方にある二重小惑星、その小さい方の「ディモルフォス」です。直径約160mディモルフォスは、直径約780mの「ディディモス」の周りをまわっている衛星です。
 地球からは、どんな望遠鏡でも2つの小惑星は1つの点にしか見えません。しかしディモルフォスがディディモスの前を横切る時や後ろに隠れる時に、暗くなることから二重小惑星だと判っていました。
 見たこともないディモルフォスには、名前すらありませんでした。今回のミッションのために「2つの形態を持つ」というギリシャ語の名前が付けられました。

 

 2つの理由から、二重小惑星がターゲットに選はれました。
 ディモルフォスの様な小さな小惑星に探査機を衝突させた場合、衝突前後の様子を観測するためには、別の探査機が必要になります。そのためには多額のコストが掛かります。
 二重小惑星なら、明るさの周期を観測すれば、軌道変化が地球からでも判ります。

 

 2つ目は、万が一のリスクを回避するためです。単独で運行する天体をターゲットにした場合、軌道が地球に衝突する方向に変わってしまう危険があるからです。でも、ディモルフォスの場合は、ディディモスを回る軌道が変化するのみなので、大丈夫。

 

ついに衝突!

 日本時間で2022年9月27日、DARTは、ディモルフォスに無事?衝突しました。まずは、DARTが激突の瞬間まで取り続けたディモルフォスの姿をご覧ください。(URLをクリックするか、QRコードを読み取ってください)

https://dart.jhuapl.edu/Gallery/media/videos/dart_impact_replay.mp4

 ジョンズ・ホプキンス大学が提供している衝突5分半前からの動画です。10倍の速さで再生されており、最後の6枚は実際の速さになっています。DARTに搭載されたカメラが撮影した写真から作成されました。(NASA/Johns Hopkins APL)

 

 動画を見るとDARTがディモルフォスにまっすく向かっていくのが分かります。DARTには、カメラを使ってディモルフォスを認識する自動航行誘導システム「SMART Nav」が搭載されました。
 直前の軌道修正は機体のブレが大きいので、衝突の2.5分前にエンジンは停止しました。その後は、秒速約6kmで慣性飛行をしています。福岡の上空でエンジンを止めて東京ドームに当てるようなものだそうです。スタッフは、祈るしかないこの時間を「悪魔の2分半」と呼んだそうです。

 

 DARTの重量は約550kg。一方でディモルフォスは、小さいとはいえ48億kgと推定されています。お相撲さんに米粒をぶつけて動かそうという様なもの。NASAが当初設定していたミッション成功の基準は、ディモルフォスの公転周期を73秒短縮することでした。
 衝突により、公転周期は11時間55分から11時間23分になり、これを大幅にクリアしました。
 DARTは、ディモルフォスに正面衝突しました。これにより減速したディモルフォスの遠心力が低下し、公転半径が30mほど短くなることで、32分も公転周期が短くなったようです。

 

力を合わせて地球防衛


 衝突直前の写真を見ると、ディモルフォスは、いくつもの岩が緩やかに集積して出来ているようです。はやぶさが試料を持ち帰った「イトカワ」や、はやぶさ2の「リュウグウ」にそっくりです。イトカワリュウグウの試料の分析結果も地球防衛に役立つのです。

 

 DARTは木っ端微塵になり、その後のディモルフォスの様子は分かりません。大きなクレーターが出来ているはずです。それを確認するために、2024年ESA欧州宇宙機関)が探査船Heraを打ち上げます。Heraには、はやぶさ2に使われたカメラの後継機が搭載されます。ディモルフォスの密度や質量、放出された物質の量、軌道変化の正確な値などを測定するそうです。

 

 衝突の様子や飛び散った噴出物は、ハッブル宇宙望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でも観測されました。また、衝突により明るくなったディモルフォスを世界各国の望遠鏡も捉えていました。

 リアル「地球防衛」実験には、様々な人々が関連しているのです。

 

                                                                                             や・そね


<関連する過去作>

2021年3月号   恐竜を絶滅させた小惑星、人類は大丈夫か?

https://note.com/kosuzu_kouchan/n/na371c9ac212d

2021年12月号 NASA、星を動かしまーす。

https://note.com/kosuzu_kouchan/n/nc30264cdfab8

<参考資料>

WEB

・The Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory LLC. 

「Double Asteroid Redirection Test NASA'S FIRST PLANETARY DEFENSE MISSION」

・natureダイジェスト 19 November 2021 

小惑星にぶつけて地球を守る NASAが初の実証実験」

・natureダイジェスト 11 October 2022 「小惑星の軌道を転向する実験は大成功!」

ナショナルジオグラフィックニュース 2022.9.28

「【解説】NASA探査機が小惑星に命中、史上初の地球防衛実験」

ナショナルジオグラフィックニュース 2022.10.13

「続報:NASAの『地球防衛実験』、小惑星の軌道変化を確認」

JAXA デジタルアーカイブ

 

雑誌

・『Newton』2023年1月号 史上初の「惑星防衛」実験に成功

 

TV番組

NHK コズミック フロント 2023.01.19 「地球防衛 史上最大の作戦

 

ラジオ番組

NHK カルチャーラジオ科学と人間 2023.01.20

 「宇宙の謎に迫る面白い話 天体の地球衝突問題とは」

 

2023年 運試し!ウサギさんクイズ(解答編)

第1問の答えは③ 約360度一般的に、ライオンの様な肉食動物は、

正面に付いた左右の目で立体視するために、視野が狭い。草食動物は、目が横についており、視野が広いと言われます。ウサギの片眼は190度見えるので、前方だけでなく後方にも10度ほど立体視が出来る範囲がある、と書いてある本もあります。ちなみにヒトの視野は両眼で180~200度と言われています。

第2問の答えは① アマミノクロウサギアマミノクロウサギは、日本の固有種で、奄美大島と徳之島にしかすんでいません。大正時代、天然記念物の法律ができた最も早い時期に、指定されています。黒いし、耳も足も短いし、鳴き声で仲間と話すし、変なうさぎです。最も原始的な姿を残しているうさぎと言われます。森林伐採マングース、野良犬・野良猫、交通事故の被害で激減しているそうです。

第3問の答えは③ 約2,000年前犬の家畜化は、確定していませんが4~3万年とも言われます。ブタは、1万1千年前、ウシは1万年以上前、ネコは約1万年前、ニワトリは8~4千年前と言われています。ウサギが家畜化されたのは、最近なのです。1,400年前にグレゴリウス1世の勅命から飼われたという話を書いた本などがありますが、ウソです。

 

シールが上手くはがれなかった方へ

色々なハガキや日数をおく等何度も実験し、はがれることを確認して実施したのですが、上手くいかなかったようですね。ご面倒をおかけしました。ごめんなさい。これに懲りずに今年もよろしくお願いいたします。

 

2023年 運試し!ウサギさんクイズ(問題編)

オジさんの科学 新春号 

今年の干支のウサギに関するクイズにチャレンジして

みませんか?正解したら飛び跳ねて喜んでください。

 

1問 草食動物のウサギは、常に周囲を見渡せるように、広い視野を持っています。ウサギの水平方向の視野は、次のうちどれでしょう?

①約270度 ②約315度  ③約360度

 

2問 日本には、特別天然記念物にも指定されている、絶滅危惧種のウサギがいます。そのウサギは次のうちどれでしょう?

アマミノクロウサギ ②イナバノシロウサギ ③ウネビノアオウサギ

 

3問 ペットとして大人気のウサギ。食用や毛皮にしたり、毛織物の素材するためにも飼われています。さて、ウサギは、いつ頃から家畜化されたと言われているでしょう。

①約20万年前 ②約2万年前  ③約2,000年前

宇宙人が見つからない訳

オジさんの科学vol.051 2020年3月号 

(2020年3月に配信した文章を微修正し、2022年2月に掲載しました)

 

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 地球外文明とのファーストコンタクトを扱った中国のSF小説『三体』は、SFの歴史を塗り替えたと言われています。世界最大のSF賞とも言われるヒューゴー賞長編小説部門を翻訳本で初めて受賞し、オバマ大統領やザッカーバークも読んでいる、と話題になりました。

 三体人が住む惑星は、我々の太陽系に最も近い恒星「ケンタウルス座のアルファー星」系にあるという設定です。空には太陽が3つも浮かぶ世界です。

 

 実際の「ケンタウルス座のアルファー星」も三重星です。大きさが太陽と同じくらいの二つの恒星が、お互いの周りをぐるぐると回っています。さらにその外側を太陽の1/8程度の「赤色矮星」と呼ばれる小さな恒星が回っています。

『三体』が発表されたのちに、その赤色矮星に惑星「プロキシマb」が発見されました。プロキシマbには、生命の誕生に不可欠な「液体の水」が存在するのではないかと考えられています。

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優秀な人たちと一緒に仕事をする時、 あなたはアイディアが出なくなっているかもしれない。

オジさんの科学vol.050 2020年2月号

2020年2月に配信した文章を2021年10月に微修正し、掲載しました。

 

 わたしたちは、様々な場面でアイディアや提案を求められます。

 プレゼンに向けてのブレストや新商品の企画会議、忘年会のネタだしや商店街イベント打合せなどなど。

 オジさんは、優秀なメンバーと一緒ならより良い企画ができる、と思っていました。仲間のアイディアに触発されて、自分の発想も広がるはずだと。

 ところが、今年1月東京大学の研究チームから「クリエイティブな仲間は自分の創造性を妨げる?」という首をかしげるようなリリースが出されました。

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