オジさんの科学

オジさんがオモシロそうだと思った科学ネタを、勝手にお裾分けします。

ミートテックを愛用する方々に、ジャストミートする諸研究

オジさんの科学vol.029 2018年5月号

(2018年5月に配信した文章を、2020年3月に微修正しアーカイブしました)

f:id:ya-sone:20200316115048p:plain


 ヒートテックは、ユニクロ東レが共同開発した保温性に優れる下着です。

 ある先輩は、自分の脂肪を「ミートテック(MT)」と命名しました。MT愛用者にとってこれからの季節は、どこでもサウナだそうです。

 最近、相次いでMT愛用者に関連する研究結果が発表されました。

 

 

続きを読む

ネコの人工血液が出来たんだニャ~。

f:id:ya-sone:20200308144359j:plain


オジさんの科学vol.028 2018年4月号

(この文章は、2018年4月に配信したもの2020年3月に微修正したものです)

 

  安倍ちゃんと加計君のおかげで「獣医学科」に注目が集まっている。全国の獣医さんはどう思っているのだろうか。

 先月、獣医さんたちが喜んだに違いない発表が、中央大学JAXA宇宙航空研究開発機構)からあった。

 中央大学理工学部の小松教授の研究チームが、「ネコの人工血液」の合成に成功したというニュースだ。

続きを読む

おイヌさまさまなのだ。

 オジさんの科学vol.027 2018年3月号

(2018年3月に配信した文章を微修正し、2020年2月にHPにアップしました)

 

f:id:ya-sone:20200229093237j:plain 小学生の時に、リリーというスピッツの雑種を飼っていた。今の家には、10年前までチワワの光ちゃんがいた。現在は、光ちゃんに育てられたサビ猫の小鈴がだけだ。

 以前、ネコの話を取り上げた。このへんでイヌの話も書いておきたい。

 

 イヌが担う役割は、他の動物と比べて圧倒的に多い。番犬、猟犬、牧羊犬、警察犬、災害救助犬盲導犬聴導犬介助犬、軍用犬、麻薬探知犬白戸家のお父さん。  

 これだけ「仕事」を持っている動物はイヌだけだ。ネコの「駅長さん」は、切符を切ったりしない。  

続きを読む

インフルエンザは、なぜ流行(はや)る?

オジさんの科学vol.026 2018年2月号(2018年2月に配信した文章を、微修正し2020年2月にアーカイブしました)

 

 今年もオジさんの周りでは、インフルエンザが流行っている。まるでインフルエンザブームだ。猫も杓子もインフル。「先週20階でも、ついにインフルが出た」「昨日の打合せで目の前にいた宮本君が、インフルで倒れた」と挨拶代わりに交わす。そして「流行」と言われるようになる。普段は、ファッションとか音楽に関して使われる言葉だ。

 これほど何気なく「流行る」と語られる病気は他にはない。「流行性感冒」とも呼ばれる。 
 誰もが知ってるインフルエンザ。ヒトは6歳までにほぼ100%感染すると言われる。何故にこんなに流行るのか、調べてみた。

 

f:id:ya-sone:20200216111002j:plain

続きを読む

13%の不運!

オジさんの科学vol.025 2018年1月号

(2018年1月に配信した文章を微修正し、2020年2月にアーカイブしました)

 

 キタサンブラックが引退した。生涯獲得賞金第一位、G1最多勝、最終戦有馬記念に優勝。と、競馬をやらないオジさんでも知っている。
 絶頂期に引退するのはスターの条件とも言える。紅白の安室ちゃんは、かっこよかったなぁ。惜しまれながら去るってことが大事なんだよね。
 ジェームズ・ディーン尾崎豊のように、不慮の事故や突然の死によって映画やCDの中でしか会えなくなったスターは伝説となる。かつて世界に君臨し、突然絶滅した恐竜も古生物界の大スターだ。

 

 6600万年前のその日、空から恐怖の大王が降ってきた。大王さまの正体は小惑星。直径10km程度と考えられている。衝突速度は約20km/秒。衝突時のエネルギーは広島型原子爆弾の約10億倍。衝突地点付近で発生した地震の規模はマグニチュード11以上、3.11の大地震の1000倍にもなる。生じた津波は高さ約300mと推定される。スカイツリーの展望デッキの足元を波が洗う。
 大王さま降臨の地は、ユカタン半島に極近いメキシコ湾だ。現在チュクシュルーブクレーターと名付けられている。直径が160~180kmもあり、世界最大級と言われる。
 そして恐竜には、博物館の骨の標本や映画のCGでしかお目にかかれなくなった。

f:id:ya-sone:20200208113917j:plain

続きを読む

ヒートショックで身体を守る

 


 オジさんの科学vol.024 2017年12月号

(2017年12月に配信した文章を、2020年2月に微修正しアーカイブしました)

 

 寒さに弱いオジさんにとって「ヒートテック」の下着は冬の必需品だ。そこから、何の関係もない「『ヒートショック』プロテインHSP)」の紹介を思いつきました。

熱ショックタンパク質とも言われます。

 

f:id:ya-sone:20200202115056j:plain

続きを読む

どうして落ち葉は色づくか?

 スポーツの秋だ。オジさんはゴルフに出かける。青く澄んだ空に向かって飛んでいく白球。と思ったら大きくスライスし、紅葉の林の中に吸い込まれていった。秋です・・・・。落ち葉を踏みしめてボールを探しに行く。

 街路樹も落葉樹が多い。街中でも黄色く色づいたイチョウ並木や真っ赤なモミジをたくさん見られる。赤坂Bizタワーは、自動ドアが開くたびに落ち葉が入り込んでくる。助けてください、レレレのおじさん。

 乙女が頬を染めるのは、恥じらいの徴。オジさんの顔が黄色いのは、肝臓が悪い証。黒いのはゴルフのやり過ぎ。色づくにはワケがある。今回は「紅葉&黄葉」について調べてみた。

 

f:id:ya-sone:20200118113424j:plain

  まずは、美しい葉の色を作りだす色素について。
 そもそもなぜ植物の葉は緑色に見えるのか。
 これは葉緑体に含まれる「クロロフィル(親しみを込めてクロロ君と呼びます)」の色、葉緑素とも言う。光のエネルギーを使い水と空気中の二酸化炭素から、糖類や酸素を作りだす「光合成」をおこなう。光合成を行なうためにクロロ君は光を吸収する。でも、緑色付近の波長の光だけはほとんど吸収しない。その結果、反射されて来た緑色の光だけが目に届く。

 イチョウの葉などの黄色は「カロテノイド(こちらはカロテさん)」だ。ニンジンやトマトにも含まれる。カロテさんの仲間は高い抗酸化作用を持ち、目の機能強化、白内障加齢黄斑変性などの眼病予防に役立つとして、近年注目されている。

 モミジなどの赤は「アントシアニン(そしてアントちゃん)」の色。ポリフェノールの一種で赤ワインやブルーベリーなどに含まれる。アントちゃんも高い抗酸化作用を持つことで知られる。目にいいとも言われる。

f:id:ya-sone:20200118113611j:plain

 つぎは色が変わるメカニズムだ。
 葉緑体の中には元々、クロロ君とカロテさんが入っている。夏の間、引っ込み思案のカロテさんはクロロ君の陰に隠れている。秋になり葉に送られる水分や栄養が削減されると、クロロ君が分解されていく。すると隠れていたカロテさんが見えるようになる。
 イチョウの葉はこうして黄葉する。秋じゃなくても栄養が行き届かなくなると葉は黄色くなるそうだ。

  一方モミジが紅葉するには別の仕組みが働いている。秋になり気温が下がると葉の根元と枝の間にコルクの様な層ができ、水分や栄養のやり取りが止められる。するとクロロ君に作られた糖分が葉に残ったままになる。これに紫外線が当たるとアントちゃんに変身する。その後クロロ君が消えていくとアントちゃんとカロテさんが残り、赤やオレンジになる。
 モミジが色鮮やかになるためには、昼と夜の温度差が大きく、日中たくさん日光を浴びることが必要になる。

 クロロ君が残ったまま落葉する樹木の葉は、赤褐色になる。

 

 紅葉や黄葉は目立つ。カラフルな生き物は、目立つことで有利に生き残れるように進化した。花はミツバチや蝶を誘うため。クジャクはメスの気を惹くため。毒をもった派手なウミヘビに擬態して身を守る魚もいる。

 ところが何故紅葉・黄葉する落葉樹はカラフルになり、しかもその葉を捨ててしまうのか、よく判っていないらしい。

 

 カロテさんやアントちゃんは抗酸化物質なので活性酸素から葉を守り、最後の栄養分を枝に送る手助けをするという説。

 紅葉が鮮やかな木ほどアブラムシの寄生が少ないという報告がある。カラフルになって植物食の虫を排除しているという説。

 逆にアリと共生するアブラムシを誘引し、アリに他の植物食の虫たちを退治してもらうためという説もある。

 どれも、いまいちピンとこない。まだまだ研究例も少ないようだ。
 たんに老化現象と片付ける説も有力らしい。

 

 そこでオジさんは考えた。
 落ち葉は木の根元に積もる。雪が降っても温かい(と思う)。イチョウの葉には防虫効果があると言われる。アントちゃんには殺菌作用がある。落ち葉は冬の厳しい環境から木を守る。紅葉・黄葉の「抗菌ふとん」説。
 しかもやがて堆肥となり、熱を発生し、翌春の栄養分となる。
 どう?こっちの方が、しっくりくるでしょ。

 

f:id:ya-sone:20200118113714j:plain


 オジさんのゴルフ仲間には、カラフルなボールを好む人たちがいる。目立つから見つけ易いというメリットがあると言われる。しかしこの時季は禁物だ。オレンジや黄色のカラーボールは紅葉や黄葉と区別が付かなくなる。それなのに、使っちゃうオジさんたちのゴルフは進化しない。

 

オジさんの科学vol.023 
(2017年11月号として配信したものを微修正し、2020年1月にアーカイブしました)                                                         や・そね

 

参考資料:

竜田姫はだれなのか?-紅葉の適応的意義に関する仮説- 山崎一夫 
生物科学(2009) 第60巻 第2号

「紅葉」・「黄葉」のしくみ 国立科学博物館HP

紅葉のナゾ 森林総合研究所HP

紅葉の不思議 毎日小学生新聞